MASARU KAWAI

MASARU KAWAI

隠岐の島へ

2015 12 10

二十数年前、ひとりの樵(きこり)が島根県隠岐の島で大きな杉を伐採した。
その杉は船に引かれ海を渡り、京都のある製材所で製材、保管された。
二十年後、ぼくはその杉に出会い、瓶子を作った。
そして今年、ぼくはこの瓶子をリュックに詰め、島に渡った。
その切り株は、驚くほど簡単に見つかった。
島の人が供えたであろう榊の隣に、そっと置いた。
二十数年の間、風雨に晒され土に還りつつある切り株と、人の手で大切に保管され、道具へと形を変えたその一部。
その記念撮影は、なぜだか少し恥ずかしそうに見えた。