MASARU KAWAI

MASARU KAWAI

神成り

2017 09 10

先日、友人から近所の白山神社の木に雷が落ちているとの情報があり、見に行って来た。
凄まじいものだった。
シャレが好きな日本人は、昔からカミナリが落ちた木は「神に成る」と言って祀って来たが、今回のものはその破壊力といい、龍が巻きついたような傷といい、まさしく神々しかった。
ちなみに神社のしめ縄に付いている紙垂(しで)は、雷の形だという説もある。
木の傷が相当に大きく、いつもお世話になっている森の案内人三浦さんに聞いたところ、モミは適応力が低いため、枯れてしまう可能性が高いそうだ。
これも自然の摂理か。

無題

2017 08 20

先日、いつもお世話になっている、ある大先輩グラフィックデザイナーとメールのやり取りをしていて、とても良い思考状態にはまった。
年に数回、人との会話や、本の中や、時には運転している瞬間になど、良い状態になることがあるが、今回はたまたま文字として残っていたので、許可を得てここに転載してみます。
(前後のやり取りがないとわかりにくい部分もありますが、そのままを載せます。)

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Yさま

資料を拝見し、思い出したことがあります。

先日、とある講演を聞く機会がありました。
そこで知ったことですが、山形県のある村で、数百年もの間飢饉で死者を出していない村があるそうです。
そこは山に囲まれた雪深い場所ですが、周りの山を全て共同で管理しているそうです。
山々を24等分し、年に一回その1/24を皆伐し、村全体で使う一年分の薪を得ます。
その場所は次の年には山菜がたくさん取れ、そこから5年間は切り株からキノコが採れ、ソバを撒いたりし食料を得ます。
また次の年は、次の1/24の山を伐ります。そしてまた次の年も、、、
そうやって24年して元の場所に戻ると、皆伐した場所はすっかり元の山に戻っているということなのです。
(これはこの地域が、24年というサイクルを持っているのであって、他の地域は、気候や土壌によって違ったスパンになると思います。焼畑農業も、おそらく同じ原理だと思います。)

何百年もの間、山が山として持続し、かつ人間の側も餓死者が出ない。
これは地域として、山と人が、動的平衡を保っているということではないでしょうか?

日本は雨も多く、四季があり、植物が成長するのにとても適した国です。
他方、ヨーロッパは基本的に土が薄く、さらに寒冷な場所などでしたら、この24年というスパンはおそらく100年200年になると思います。

僕はこのスパンの違いが、建築や家具の対応年数の違いであり、よって木の文化の違いの根底であると思っています。

ヨーロッパの家具は元々、永く使えるように、ガチガチに作るのではなく、修理すること、しやすいことを前提に作られています。
抜けないホゾにするのではなく、接着剤(ニカワ)の対応年数か切れたら自然にホゾが抜け、また接着剤を入れて組み立てます。
そうやって代々使われてきました。

翻って、日本の建築は、基本的に白木です。さらに地面に直接柱を立てる「掘っ立て」でありさえします。
当然、木は消耗しやすく、対応年数も短いです。
しかし、日本ではこれが可能だったのです。次の木が育つまで持ちさえすれば持続可能になります。
こう書いていて思いましたが、日本の建築には、生と死が色濃く現れていますね。
木と人が、今よりいっそう近い存在だったのだろうなと、容易に想像ができます。時間というスケールにおいても。

僕がSOMAで目指しているのは、森と人が動的平衡を保っていた(=インタラクティブに繫がっていた?)時代への回復なのかもしれません。
元々は平衡を保っていた人と自然の関係が、戦後復興を旗印に杉と檜を植えすぎたことで崩れてしまった。
経済を最優先にするあまり、自然とどう繫がっていたのかを忘れてしまった。
そして今、杉と檜を使うことで、かつての平衡状態へ少しでも向かえるようなベクトルにおいて製作したい、ということなのかもしれません。
自分自身、分かっていなかったのが可笑しいですが、何かここで少しクリアになった気がします。

またYさんがおっしゃるように、ギャラリーとか作家とか消費者の問題ではなく、人間と自然がこれからどういう関係性で生きていくのか、ということを作ることを通して考えたいのだと思います。

最後に、ここに書いたことは、全て人間の側からのことですね。
このことを考えるのと同時に、植物の視点から人間を考えることもできればと思っています。もちろん、全てを理解することは不可能ですが、できることはなんでもしてみたいな、と。ちなみに今、「樹木たちの知られざる生活」ペーターヴォールレーベン著という本を読んでいます。なかなか面白いです。
また11月25日には、コズミックワンダーの個展の初日に、専門の方に南青山を植物の観点から案内してもらうツアーを行います。
ご都合よろしければ、ぜひご参加くださいませ。

いつも、とても良い刺激を頂いています。
本当にありがとうございます!

森の話

2017 08 15

杉には表杉と裏杉という二種類がある。
表杉は太平洋側に生える杉で、裏杉は日本海側に生える杉だ。
秋田杉や吉野杉、屋久杉など名前は、ブランド名だと思ってもらえればいい。

先日、こんな森へ行って来た。
岐阜県美濃地方の奥山なのだが、とても興味深い森だった。
写っている巨木は、裏杉だ。裏杉の特徴として、ある程度の高さで伐採すると、そこからまた木が生えてくる。なので、このような異様な樹形になる。表杉では、こうはならない。
これらの木は、樹齢およそ500年だという。裏杉が生えているということは、500年前はここは日本海側の気候だったということであり、当時は雪が多く、雪挽きと言って降雪期に雪で滑らせて山から下ろす方法をとっていた。太い幹から細い幹へ変わっている高さのところまで雪があり、この高さで木こりが伐採していたことがうかがえる。
500年前は、こんなに太い杉が林立していたかと思うと、ため息が出る。

そして今度は、時代が下がるにつれて気候が変化し太平洋側の気候に変わっていった。
裏杉ではなく、表杉が育つ環境になったため、近年に植林された杉は表杉で、皆真っ直ぐに立っている。

同じ森の中でいくつもの時代が折り重なる、とても良い森だった。

SOMA POPUP STORE

2017 08 04

SOMA ポップアップストアのお知らせです!
8/23-8/28
新宿伊勢丹本館5Fウエストパークにて、初めてのSOMAだけの展示をします。
戦後日本中に植えられ使われるのを待っている、国産の杉と檜を使ったシリーズの初出店です。
いわゆる普通の針葉樹で作った家具たちに、どんな反応があるかとても楽しみです!
お気軽にお立ち寄りください。

新作

2017 06 26

京都やまほん

2017 06 02

個展のご案内です。
移転して新しくなります京都やまほんです。
2017.6.24-7.12
10:00-18:30
京都市中京区榎木町95-3-2F
24.25 日は在廊する予定です。
よろしくお願いいたします!